AIによる難治がんの早期発見

画像解析にAIを使い、生存率が低い膵臓がんを早期発見する技術が進歩しています。国立がん研究センターによれば、2020年に国内で膵臓がんで亡くなったのは約3万8千人と、肺や大腸、胃がんに次いで4番目に多くなっています。高齢化で20年間で2倍に増えています。米国や欧州の主要国でも4~7割増えています。

富士通や総合南東北病院は、人間ドックなどで一般的な造影剤を使わない簡易的なCT検査の画像に対応したAIを試作しています。2022年度末までに、様々な進行度の膵臓がん患者約300人のCT画像をAIに学ばせ、膵臓を立体的に解釈する医師の読影法を真似て精度の向上を図っています。まずは早期のステージ1以上のがんの発見に役立てます。
将来は専門医でも発見が難しい超早期のステージゼロを目指しています。ステージゼロは粘膜など上皮細胞にがんがある程度の状態です。人間ドックなどでの心臓や肺のCTの検査に映り込んだ膵臓の画像なども参考に発見できるようにする計画です。中皮腫や肺がんなど他の難治がんにも活用が広がっています。

医療の画像検査へのAIの利用は広がる見込みです。P&Sインテリジェンスによれば、世界の医療画像向けAIの市場規模は、2030年に119億ドル(約1兆7千億円)と、2021年の11倍になると予想されています。年平均の成長率は30%超に達します。がんと心血管疾患向けが大きく伸びるとされています。

(2022年12月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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