ASEANにおける日本のイメージ

外務省が発表したASEANにおける対日世論調査によれば、今後重要なパートナーとなる相手として中国が日本を抜いて首位に立っています。加盟10カ国を対象に調査を始めた2015年度以降で、初めてです。カンボジア、ブルネイ、シンガポール、マレーシア、タイ、ラオスで、中国のポイントが日米より高くなっています。最も信頼する国としても、中国は日米より高いポイントを得ています。
中国を選ぶ比率が、2015年度の40%から48%に上がっています。この間、中国は南シナ海で強引な活動を増やし、新疆ウイグル自治区や香港での人権弾圧に対しては、米欧日から批判が強まっています。米中対立も激化しています。こうした問題とASEANの人々の判断は連動していません。
シンガポールのシンクタンクであるISEASユソフ・イシャク研究所がASEANに対して実施した調査によれば、地域で最も影響力を持つ国として、経済的には76.7%、政治・戦略的にも54.4%が中国を挙げています。2位の米国を引き離しています。米中対立へのASEANの対応として、適応力と団結力を強化し、2大国からの圧力に対応、米中いずれの味方にもならない姿勢を継続が、計7割を超えています。米中いずれかを選択するべきだは1割強にとどまっています。
ASEANの識者による日本のイメージは、日本を信頼すると答えた比率は54.2%で、2019年の発表以来4年連続でトップです。米国は52.8%、欧州が48.5%、中国は26.8%でした。政治や経済で日本の影響力は米中に及びませんが、識者の信頼は厚いものがあります。

(2022年6月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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