GIGAスクール構想の必要性

GIGAスクール構想は、社会のデジタル化が急速に進む中、地域や学校に関係なく、情報やデータを扱う力を子どもたちにつけてもらおうと、文部科学省が2019年に打ち出しました。小中学生に1人1台のパソコンやタブレット端末を配備し、小中高校に高速通信ネットワーク環境を整備する事業です。長らく日本の遅れが指摘されましたが、コロナ禍による昨春の一斉休校で事態は動きました。オンラインによる家庭との連絡や学習の必要性が高まる中、当初は2023年度から1人1台の端末利用が本格的に始まっています。
ネットでの情報収集やオンライン教材の使用が可能になり、理科の実験記録などをクラスで共有し議論することができます。自分にあった学習の方法や進度を選ぶことも可能になります。家庭とつなげば、連絡事項の配信や課題の提出に利用でき、海外や遠隔地との交流学習などにも活用できます。しかしわが国は、諸外国と比べ教室の授業でデジタル機器の利用時間が少なく、学習の定着度が課題となっています。
日本では、端末はゲームや遊びの道具という意識が根強くあります。学校の端末で動画やゲームに何時間もかじりついている子どもが多くなっています。子どもはデジタル機器を簡単に使いこなし、学びを広げていくことができます。学習者が端末利用の約束事や使い方を考えるデジタル・シチズンシップ教育が必要です。オンラインは、学校や家庭だけでなく社会や世界にもつながり、責任も伴います。子ども自身が学びの道具にしていく環境を整えることが大切です。

 

(2021年8月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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