IMFによる世界経済見直し

国際通貨基金(IMF)は、2021年の世界経済の成長率見通しを5.5%とし、前回予測から0.3ポイント引き上げています。追加の新型コロナウイルス対策で、日本が0.8ポイントの大幅な上方修正となり、米国も上振れしています。世界経済は、巨額の財政出動が後押しし、2020年半ばから回復が始まっています。2019年通年の世界GDPの水準を100とすれば、2021年は102となり、2020年の落ち込みから回復することになります。
2021年は、米国もコロナ危機前の水準を取り戻し、中国に続いて世界経済のけん引役となります。日本は遅れて2022年にも2019年水準に回復する見通しです。欧州は、新型コロナの感染再拡大で経済活動を制限しており、ユーロ圏の2021年の成長率見通しは、4.2%と前回予測から1ポイントの下方修正となっています。2020年にマイナス10%の大幅な景気後退となった英国も、2021年は、4.5%成長と予測を1.4ポイント引き下げています。
日米は、追加対策の発動が遅れれば、長期失業が増えて労働者はスキルを失い、経済への長期ダメージが残るとしています。しかし、早期回復と引き換えに財政悪化という代償が残ります。IMFの2020年10月時点の分析では、2019年時点の日本の政府債務は、GDP比で230%超と主要国で最悪ですが、2020年、2021年とも250%を超えそうです。米国は2019年時点で108%でしたが、2021年には130%超となる見込みです。

 

(2021年1月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。