iPS細胞によるがん治療

iPS細胞から作った免疫細胞で、がんを治療する取り組みが進んでいます。がん免疫療法は、体内の血液中にある免疫細胞を利用すします。T細胞という免疫細胞を遺伝子改変してがんへの攻撃力を高め、患者に投与するのがCAR-T細胞療法です。国内でも2019年に承認されましたが、1回の治療費は3千万円以上になってしまいます。
高コストになるのは、患者の細胞を遺伝子改変するためです。健康な人の細胞からiPS細胞を作製し、免疫細胞をあらかじめ大量生産しておいて治療に使えば、1人あたりの治療コストを100万円以下にできる可能性があります。国内外の企業が研究を進めています。
米スタートアップは、遺伝子改変で攻撃力を高めた免疫細胞を血液がんの患者に投与しました。日本企業なども、2023~2024年の臨床試験の開始を目指しています。効果は高いが高額ながん免疫療法のコストを、10分の1以下にすると期待されており、がん治療を変える可能性があります。
細胞を使った治療薬の市場規模は、拡大する見通しです。米調査会社のKBVリサーチの予測によれば、2026年の世界市場は、約285億ドル(約3兆2千億円)と20年の4倍超になるとされています。iPS細胞や受精胚から作るES細胞といった様々な細胞になる万能細胞を使うタイプや、限られた種類の細胞に変化する幹細胞を使うタイプが多くなっています。がん以外には、筋肉や骨、皮膚の病気、免疫の仕組みが自分の体を攻撃する自己免疫疾患の治療などで研究開発が進んでいます。

(2021年10月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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