iPS細胞による心筋再生

慶應義塾大学の研究グループは、心臓を収縮させる心筋細胞の働きが悪くなる「拡張型心筋症」の患者を対象とし、iPS細胞より作った心筋球を移植する臨床研究を始めます。拡張型心筋症は、機能が落ちた心筋細胞は再生せず、状態が悪くなると心臓移植や補助人工心臓が必要となります。移植は年に50例ほどとされ、新しい治療法が望まれています。
京都大学から提供されたiPS細胞を心筋細胞に変え、それらを1千個集めて心筋球をつくって移植します。心臓のまわりには厚さ数ミリの脂肪の層があり、心臓を拍動させるには心筋細胞を内側に移植する必要があります。心臓を傷つけないように特殊な針を刺し、先端にあけた複数の穴から心筋球を移植します。安全性を最優先するため、まずは5千万個の心筋細胞を移植します。3人に移植し、1年間かけて重い不整脈が起きないかや腫瘍化しないかなどを確認します。

(2020年2月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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