iPS細胞による心臓病治療

大阪大学のグループが、iPS細胞から心臓の筋肉の細胞をつくり、重い心臓病の患者に移植する手術を世界で初めて実施しました。安全性や、効果があるかどうかを確かめた上で、5年以内に治療に使うことを目指しています。手術を受けた患者は、心臓の血管の血の流れが悪くなったために心臓の筋肉に十分な酸素や栄養が送れなくなり、心臓から全身に血液がうまく送り出せなくなる虚血性心疾患です。iPS細胞からつくった心筋細胞をシート状にして、患者の心臓に貼り付けています。
シートは、直径4~5㎝ほどの円形で、1枚には約3千万個の細胞が含まれ、計3枚が使われました。シートから出るたんぱく質が新しい血管をつくり、心臓の働きをよくするのではと考えられています。慶應義塾大学のグループも、別の心臓病である拡張型心筋症の治療にiPS細胞を使おうとしています。こうしたiPS細胞を利用した治療は、心臓病以外でも目の難病やパーキンソン病などで行われています。様々な研究機関から臨床研究開始の報告がされているのですが、未だその有効性に関する報告がみられません。そろそろ、iPS細胞研究も臨床上の有用性を評価する時期に来ています。

(2020年2月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。