iPS細胞による腎臓再生

東京慈恵医大らの研究グループは、iPS細胞とブタの胎児組織を使って、人の体内で腎臓を作る再生医療の研究を始めます。サルで安全性や効果を確認した後、3年後に人での臨床研究に進みたいと考えています。研究においては、人工透析をしている腎不全の患者本人や他人のiPS細胞から腎臓のもとになる細胞を作ります。これをブタの胎児の腎臓組織に注入し、腎臓の種を作製し、患者の腹部に移植します。数週間で成長し、尿を作り出すなど腎臓として機能し始めた段階で患者の尿管とつなぎます。これまでにチームは、同様の手法でラットの腎臓を作ることに成功しています。
しかし、ブタの細胞を体内に入れる事から、予期せぬ問題が起こる懸念があります。ブタの細胞が患者の体内に入ることから、ブタ特有の病原体に感染したり、拒絶反応が起きたりする恐れがあります。そのため無菌環境で育てた特別なブタを使うほか、拒絶反応を抑える免疫抑制剤を使用します。また移植後に薬で早急にブタ由来の細胞を死滅させるとしています。

(2019年4月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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