iPS細胞にパーキンソン病の治療

京都大学は、ヒトのiPS細胞からつくった神経細胞を、パーキンソン病の患者の脳に移植する臨床試験を8月1日から始めると発表しました。対象となる患者は、薬物治療では症状が十分にコントロールできなくなりつつある50~60代の7人で、1人目の移植は京都大学病院が年内にも実施する予定です。パーキンソン病では世界初です。京都大学病院は治験の参加者を募集します。病気になって5年以上で、進行度が早期~中期の人です。
パーキンソン病は、ドーパミンという物質がつくる脳内の神経細胞が減少し、手足の震えや体が動きにくくなるといった症状が出ます。厚生労働省の調査によれば、国内に16万人の患者がいるとされています。京都大学によると、移植に使うiPS細胞は患者の細胞からつくるのではなく、同大学iPS細胞研究所があらかじめ第三者の細胞からつくったものを使用します。ドーパミンを産生する神経のもととなる細胞をつくり、手術で患者の頭部に開けた直径12㎜の穴から、特殊な注射針を使って脳に移植します拒絶反応を抑えるため、移植から1年間は免疫抑制剤も使用します。患者に移植する細胞の数は計500万個です。理化学研究所などのチームによる目の難病の約25万個に比べるとかなり多くなります。注意を要することは、変化しきれなかったiPS細胞などが混じれば、患者の体内で腫瘍になるおそれがあるため、安全の検証が必須です。

(2018年7月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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