iPS細胞を使用した創薬

iPS細胞の臨床応用では、病気などで傷んだ組織を新しい細胞で補う再生医療が注目を集めています。iPS細胞を利用し、病気の状態を再現し、治療効果があるものを既存の薬や化合物の中から見いだす創薬への活用も進んでいます。従来の新薬開発では、まず動物実験で治療効果などを確かめ、その後、大勢の患者を募って臨床試験(治験)を行っていました。動物では効果があっても、治験で人に効かないと分かるケースも多く、一つの薬ができるまでに約1,000億円かかるとされています。
iPS細胞を活用すれば、開発初期から人の細胞で効果を探ることができ、有望なものを効率よく絞り込めます。京都大学は、筋肉が骨に変わる難病である進行性骨化性線維異形成症の薬の治験、慶應義塾大学も遺伝性難聴の薬の治験を開始しています。全身の筋肉が衰える筋萎縮性側索硬化症(ALS)や神経難病のパーキンソン病などでも、iPS細胞で病気の状態を再現することに成功しています。

(2018年11月2日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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