LGBTの認知と理解

LGBTは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなど性的少数者の総称です。電通による2018年の調査によれば、自分がLGBTに当てはまると回答した人が8.9%にのぼっています。そもそも人間の性の在り方は、身体性、性同一性、性的指向、性表現の4つの要素で構成されています。1つ目は身体性で、出生時の染色体や外性器などで、医師が男女に区分します。2つ目の性同一性は、出生時に指定された性別に対する同一感です。違和感を覚える人は一定の割合で存在します。性的に魅力を感じる性的指向や、言葉遣いや服装など性表現の方法も人によって様々です。
LGBTであることを隠す人は多く、どの職場にもいるとの認識を持つことが大切です。無意識のうちに異性愛を前提としたコミュニケーションをやめることが大切になります。上司や同僚の家族などがLGBT当事者だった場合、心ない発言は相手に不快感を抱かせかねません。商談の場で不用意な発言をしたら、会社への信頼を損なう恐れもあります。様々な可能性を想定することが大切です。
職場の同僚などからカミングアウトを受けた際は、信頼してくれたことに対する感謝を伝えたうえで、当事者が何に困っているのかを確認することも必要になります。本人の承諾を得ずにLGBTであることを暴露するアウティングは、プライバシー権の侵害につながるので絶対にしてはいけません。相手の価値観を尊重しない限り、深いコミュニケーションは生まれません。LGBTが働きやすい職場は、異性愛者にとっても魅力的になるはずです。

(2020年2月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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