LGBTへの配慮

 日本企業は、性的少数者(LGBT)の社員への対応に本腰を入れ始めてきています。経団連は指針を出し、採用や人事、福利厚生といった社内制度から、商品の販売先となる顧客、消費者に向けた対応など幅広い分野について、LGBTへの配慮や対応策を掲げています。採用活動のエントリーシートから性別記入欄を廃止したり、携帯電話の家族割の適用対象を同性パートナーにも拡大しています。また企業によっては、同性パートナーとの結婚に相当する関係も、結婚祝い金の支給対象者となっています。会社が制度を設けたことで、自分自身をオープンにできるようになってきています。
 企業がLGBTへの対応に本腰を入れ始めたのは、国内で人口減少が進む中、競争力を向上させるには多様な人材の活用が欠かせないことによります。LGBTの関連ビジネスは、6兆円規模ともいわれています。電通が2015年に20~59歳の約7万人を対象に行った調査では、7.6%がLGBTに該当しています。何らかの取り組みを実施済みの企業は、42.1%にも達しています。欧州連合(EU)では、2000年に性的指向などを理由とした職場での差別が禁止され、欧州各国で同性婚が次々と合法化されてきています。米国でも2015年に、連邦最高裁判所が同性婚を認めない州法を違憲とする判決を下しています。社会の理解が深まって、企業の制度は整備されるようになり、企業経営者や著名人が性的指向をカミングアウトする例も増えてきています。

(2017年8月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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