LOH症候群

 加齢男性性腺機能低下症候群(LOH)は、男性ホルモン低下によっておこる男性の更年期障害をいいます。女性ホルモンは、閉経前後に急減しますが、男性の場合は緩やかに減少します。そのため、発症する年齢にも個人差があり、本人も周りも気付きにくい状況にあります。またLOH症候群は認知度が低く、多くの男性が適切な診療を受けられずにいます。
 LOH症候群では、身体的症状としては筋力が低下したり、ほてりや発汗、疲れても取れない疲れなどのほか、性機能が低下します。また精神症状もよくみられ、イライラ、不安、うつ、不眠などがあらわれ、無気力や無関心になります。LOH症候群の診断や治療に適した診療科として泌尿器科を挙げた人はわずか5%にすぎず、内科や心療内科、精神科、神経科を選んだ人が60%を占めています。
 テストテロンの注射が治療の中心となりますが、軟膏を処方することもあります。社会的な要因の改善も大切です。同じ人でも、ストレス次第でテストテロン値が短期間に大きく変化することがあります。社会に自分の居場所があると感じられることが大切です。職場に限らず、私生活を含め充実感が得られるような環境作りが必要です。

(2017年7月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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