NRAS抑制によるがん治療

甲南大学の研究グループは、特定の化合物を皮膚がんや白血病のがん細胞に結合させ、光を当てることで、がん細胞だけを狙い撃ちして死滅させることに成功しました。NRAS遺伝子はがん細胞の増殖や転移を促進しますが、その遺伝情報を伝えるNRASmRNAには四重らせん構造があり、ZnAPCという化合物が結合します。この化合物は光を当てると、NRASmRNAを分解するほか、活性酸素を発生させ、がん細胞を破壊することができます。
実験では、人の乳がん細胞にZnAPCを加え、人体に影響の少ない近赤外光を当てると、NRASの産生量が減り、ほとんどのがん細胞が死滅したとのことです。光を照射し、がん死滅を狙う研究は国内外で進んでいますが、チームの手法は病巣深部のがん細胞にも効果があるとしています。

(2018年6月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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