PCI(Peripheral Component Interconnect)とは

PCIとは、心臓の冠動脈の狭窄があった場合、血管に入れたカテーテルの先につけた風船を膨らませたり、ステントを呼ばれる金属性の筒を血管に挿入したりして、狭くなった場所を広げる治療法です。急性心筋梗塞や、①安静時でも胸痛や呼吸困難などの胸の症状が出る②胸痛などの症状の頻度や強さ、続く時間が増大しているといった不安定狭心症では、PCIやバイパス手術が必要となります。虚血の範囲が広い場合や、狭心症で生活が制限されるといった場合も、PCIの適応となります。しかし、胸部の症状があまりない安定狭心症や、狭窄があっても高度な虚血がなければ、薬物治療を受けながら経過を見ることが可能です。
欧米での2007年の臨床試験では、安定狭心症の患者約2,300人を、PCIを実施するグループと、薬物治療を先行させて必要に応じてPCIを行うグループに分けて比べたところ、死亡率や心筋梗塞、狭心症の発生率に差がなかったとしています。PCIは増加傾向で、日本循環器学会の全国調査によれば、2016年の待機的PCIの件数は、2007年の約1.4倍になっています。75%以上の狭窄があれば、PCIを行って診療報酬を請求できるようになったことも影響したとみられます。適正化を図るため、厚生労働省は今年4月の診療報酬改定で、急性心筋梗塞と不安定狭心症以外へのPCIは、原則として90%以上の狭窄や安定狭心症の原因と考えられる狭窄などを請求の要件にしています。

 

(2018年9月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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