待機児童問題―Ⅰ

これまでの政策
 全国の待機児童は、41日時点で26,081人であり、3年連続で増えています。待機児童問題は20年以上前から認識されてきたものの、高齢化が進む中で政策の優先順位は低い状態が続いていました。2000年代に入ると、ようやく各政権が解消をスローガンに掲げるようになってきました。2001年に小泉純一郎首相は、3年間で保育の受け皿を15万人増やす「待機児童ゼロ作戦」を打ち出しました。2008年には福田康夫首相が「新待機児童ゼロ作戦」と銘打って10年間で100万人分増やすとしました。民主党政権に移行しても、鳩山由紀夫首相が「子ども・子育てビジョン」で、幼稚園と保育所をひとまとめにする「幼保一体化」を進めて解消するとしました。
 安倍晋三首相も2013年に「待機児童解消加速化プラン」で、2017年度末までに50万人分の受け皿を増やし、待機児童ゼロを達成するとしてきました。受け皿整備は計画以上に進みましたが、需要は想定をはるかに超えていました。受け皿を充実させるほど子どもを預けて働きたいというニーズも高まるといった、いたちごっこの状況が続いています。安倍首相は、6月に待機児童ゼロの達成時期を3年先送りにすると表明しました。一方で、今度こそ待機児童問題に終止符を打つとして、5年以内に32万人分の受け皿を増やす新たな「子育て安心プラン」を発表しています。

(2017年11月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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