文部科学省の問題行動・不登校調査によれば、全国の小中高校などで2018年度に認知されたいじめは、過去最多の54万3,933件に達しています。このうち命の危険や不登校につながった疑いのある重大事態は、前年度を128件上回る602件です。いじめの認知件数は、前年度比31.3%(12万9,555件)増です。増加幅は中学21.5%、高校19.7%に対し、小学校が34.3%と特に大きく、10万8千件余り増えています。
文部科学省は、軽い事案の積極計上などが要因であることも考えられます。重大事態の増加に関しては、早めの認知に加え、学校が被害の申し立てを積極的に受け入れる傾向が強まった可能性もあります。しかし、学校から報告のあった児童生徒の自殺は332人で、前年度の250人から大幅増となっています。警察庁の調べでは390人で、学校が把握していない自殺事例が依然あります。不登校(30日以上欠席)の小中学生は、14.2%増の16万4,528人で、6年連続で増加しています。小学生全体の0.7%、中学生の3.7%を占めています。いじめは依然深刻な状況にあります。
(2019年10月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)