最近になり、1滴の血液や胃液などから、進行していない早期がんを見つける技術の成果が相次いでいます。
がん細胞が出す特有のたんぱく質である腫瘍マーカーを使ったがんの診断は今も実施されています。しかしながら、腫瘍マーカーは進行して病巣がある程度大きくならなければ検出できず、早期発見は難しいとされています。新技術はがん細胞が血液中に出すエクソソームと呼ぶ微小なカプセルを目印にしています。エクソソームは、早期がんの細胞からも放出され、遺伝情報物質のRNA(リボ核酸)の小さな断片であるマイクロRNAや様々なたんぱく質を含んでいます。エクソソームの量や構成するたんぱく質、含まれる物質が、がんの種類や進行の度合いによって違っています。
がん研は、エクソソームを調べることにより、早期の肺がんでも55%に発見でき、発現が遅れるスキル胃がんでも6割が発見できるとの結果を出しています。検査から結果が出るまで数時間で済みます。聖マリ大は、胃液に含まれるエクソソームを使い、がん研とは別の方法で胃がん有無を調べています。患者と健康な人20人で調べたところ、早期がんの患者の8割を判別できたとしています。
(2015年12月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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