政府の統計によれば、国内のがん死亡者数は2014年に約37万人にも達しています。一方、がん医療費は13年に約3兆4千億円に膨らみ、低コストでの早期発見や効果的な治療ができる技術の開発が課題となっています。がん診断のための検査には、放射線や超音波などの画像を使うほか、血液検査、細胞の一部を切除し顕微鏡で観察する検査もあります。患者の負担が少ない検査の一つは血液の採取で、前立腺がんは血液中のたんぱく質の量を調べるPSA検査が普及しています。血液のほか唾液や尿、呼気などの物質を調べる技術が開発途上です。
エックス線を使い人体を輪切りにした画像でがんを見つけるコンピューター断層診断撮影装置(CT)は、脳腫瘍や肺、肝臓がんなど幅広く使われています。陽電子放射断層撮影装置(PET)と呼ぶ技術との組み合わせもあります。乳がん検診のマンモグラフィー検査もエックス線を乳房に当てがんを映し出すことができます。磁気共鳴画像装置(MRI)は、がんに特徴的な血管が集まる様子を描写します。超音波によるエコー検査は、さまざまながんによく使われています。これらの画像検査は被曝の心配がありません。胃、腸などは内視鏡を挿入して表面の状態を観察します。小さいがんはその場で取れるほか、一部をつまみ取り詳しい検査につなげられます。
(2016年1月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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