がんの発症による離職

国立がん研究センターの調査によれば、がんに罹った会社員の3分の1が、仕事を辞めなくてはいけないと考えていることが分かりました。大企業で31.8%、中小企業で35.6%でした。大企業の社員624人のうち、がんを発症したら仕事を辞めなくてはいけないと考えているかとの質問に、非常にそう思うが4.2%、まあまあそう思うが27.6%でした。中小企業の社員419人への調査では、非常にそう思うが5.3%、まあまあそう思うが30.3%で、企業規模によって大きな違いはありませんでした。
一方、がんになった時の相談先を尋ねる質問は、会社には相談しないとした人が大企業で11.8%だったのに対し、中小企業では25.3%と10ポイント以上の差が出ていました。大企業に比べて中小企業の相談体制が整っていない可能性があります。社内のがんに関する相談窓口は、相談体制の整備だけでなく、広く周知して気軽に利用してもらうための工夫が欠かせません。現在では内視鏡手術の普及や、抗がん剤の副作用の抑制が進んでいることで、短期の入院や通院で治療できるケースも増えてきています。企業側ががん治療の現状を把握し、治療に利用できる既存の休暇制度を整理することにより、離職を防ぐことができます。

(2019年5月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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