日本人は、生涯のうち約2人に1人ががんになりますが、男性の方が罹りやすくなっています。がんは1981年から40年近く、日本人の死因のトップです。厚生労働省の速報によれば、2016年に新たにがんと診断された人は約99万5,000人でした。部位別では大腸が最多になりました。2017年には、肺を筆頭にがんで約37万3,000人が亡くなっています。
がん患者がどのくらい生きられるかを示す指標に、5年相対生存率があります。がんと診断されてから5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生きている人の割合に比べてどれだけ低いかを示しています。2006~2008年にがんと診断された人の5年相対生存率は、62.1%と6割を超えました。しかし、診断・治療法の進歩にもかかわらず、患者や死者数が増えています。背景の一つに高齢化があります。人口10万人あたりのがんにかかる率は、男女ともに50代くらいから増加し、高齢なほど高くなります。70代に入ると男性で2千以上、女性も1千以上になります。
(2019年4月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)