がんゲノム医療におけるパネル検査

患者から取ったがん細胞を分析して100種類以上の遺伝子の変異を調べ、治療薬を探るがんゲノム医療のパネル検査という方法に、6月から公的な医療保険が認められています。保険適用された検査は、中外製薬のファウンデーションワンと、シスメックスのNCCオンコパネルです。
ファウンデーションワンは米国で開発され、324種類のがんに関連する遺伝子を調べます。NCCオンコパネルは国立がん研究センターが開発に携わり、日本人で変異が見つかり易い114種類の遺伝子をターゲットにしています。いずれも実施料8万円、検査の判断や説明の技術料48万円で、1回の検査あたり計56万円になります。多くの人は高額療養費制度の対象になります。年収370万~770万円の人の場合、自己負担は8万3,000円程度です。しかし、実施できる病院は、現在がんゲノム医療中核拠点病院と連携病院の計167病院だけです。

保険診療外でも、国内で受けられるパネル検査があります。東京大学と大阪大学では、通常の診療と並行する形で受けられる先進医療として行われています。通常の治療と一緒に受けることができない自由診療も、慶應義塾大学や京都大学などで受けられます。こうした検査にかかる数十万~100万円の費用は自己負担です。しかし、パネル検査を受けても、実際の治療にたどり着ける患者は1~2割しかいません。

(2019年7月18日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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