がんは、遺伝子の変異をきっかけに発生します。遺伝子変異を探して対応する薬を投与すれば、効果は高まります。治療薬を選ぶには、多数の遺伝子を同時に調べるがん遺伝子パネル検査が不可欠です。厚生労働省は、がん患者の遺伝情報を、もとに最適な薬を選ぶがんゲノム医療について、検査で判明した遺伝情報などを国立がん研究センターに提供することを条件に保険適用すると決めました。
厚生労働省は、保険適用されれば普及が進むと見ており、検査で判明した遺伝情報を、国立がん研究センターのがんゲノム情報管理センターに集めます。患者が保険診療でパネル検査を受けるには、同センターに遺伝子情報を提供することや、その情報を製薬会社や大学が活用することに同意する必要があります。これまでは、遺伝子情報が国内に蓄積されず、研究に活用できない恐れがありました。データが増えれば、製薬会社や大学の創薬にも役立ちます。
(2019年5月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)