がんゲノム医療

 患者のがん組織などをもとに、がんに関連する遺伝子に異常がないか大量に調べて、治療方針を決める個別化医療の時代へと移りつつあります。がんのゲノム医療では、一般的に患者のがん組織などを採取してがん関連遺伝子を大量に調べます。そしてその異常に合わせて、効果的な治療法を選択します。国内では、2015年から京都大学などで始まっています。検査コストや受け入れ体制などに課題はありますが、より効果が高く、副作用が少ない医療が実現すると期待されています。
 ゲノム医療は、国立がん研究センターを始め、北海道大学や岡山大学、千葉大学などでも実施されています。しかし、これらの大学の中には、米国に患者の組織などを送って検査してもらう場合もありました。米国で先駆けて開発、導入されたため、実績はありますが、結果が分かるまでに4週間以上、費用も90万円近くかかるのが難点でした。検査期間は国内で分析できる体制が整えば短くなります。ゲノム医療の費用対効果はまだ明確になっていませんが、余分な投薬や副作用への対応が減ることで、社会全体の医療費削減にもつながることが期待されています。

(2017年9月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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