がんゲノム医療

 厚生労働省は、がん患者のゲノムを調べて適した治療法を選ぶ最先端のがんゲノム医療を提供する病院の指定要件を決めました。来年3月までに中心的な役割を担う12カ所程度を指定します。各中核病院は、直接患者を診る数カ所の連携病院と協力することになっています。従来のがん治療は肺や胃、大腸などの臓器別に施されてきましたが、ゲノム医療はがん細胞に生じた遺伝子の変異を検査で特定し、その変異に合った薬を投与します。まだ一部の種類のがんでしか実用化されていませんが、これまでより効果的で副作用も少ないことが期待されています。
 中核病院は、主に遺伝子検査や人材育成、研究開発を担当します。指定要件として、遺伝性がん患者に専門的な説明ができる医師や複数の病理診断医の常勤、遺伝カウンセラーの配置が盛り込まれています。連携病院は、主に患者の治療を受け持つ病院で、がん組織から取り出した検体を中核病院に送り、遺伝子検査を依頼します。医師は検査結果を患者に説明し、治療することになります。遺伝子検査の費用は数十万円で、保険はききません。

(2017年10月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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