大阪府立成人病センターが、来年4月から患者から取ったがん細胞を保存するがんバンクの運営を始めるとしています。がん細胞を培養する新技術を使い、抗がん剤の開発や患者ごとに適した治療法の選択に生かす目的です。がん細胞は広がり方や薬の効き方に個人差があります。多くの細胞を集めて、細かな違いが分かれば、抗がん剤を使う前にがん細胞を調べ、効果的な薬を選べるようになります。
がん細胞を生きたまま培養する技術を用い、患者から取り出したがん細胞を微細な網でこし、残った塊をマウスの体内で増やして凍結保存します。この技術を使えば、必要な時に解凍して、新薬の候補を試したり、既存の抗がん剤を組み合わせて使ってみたりすることができます。これまでに大腸がん50種類、肺がん30種類の細胞を保存しています。
(2016年11月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)