がんが進行した患者では、全身で炎症反応が起こり、がん悪液質と呼ばれる状態になります。食欲不振、筋肉や脂肪の減少、肝臓の代謝機能の異常など体全体に悪影響が及び、痩せ衰えていきます。患者のQOLを低下させるだけでなく、がん治療の効果も下がります。膵臓がんや胃がんなどが進行した患者の5~8割に症状が出て、死因の2割を占めています。
痩せて衰弱する症状を治療して患者の体力を維持できれば、抗がん剤などの効果向上や生存率改善が期待されます。近年、がんが進行した患者が痩せて衰弱する症状の仕組みを明らかにする研究が進んでいます。愛知県がんセンターや東北大学は、肝臓で異常が起きる仕組みの一端を動物実験で解明しています。
(2024年3月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)