新たな免疫療法である「CAR-T(カーティー)細胞療法」が実用化されようとしています。この免疫療法は、がん患者の体内から免疫細胞を取り出し、遺伝子操作して攻撃力を高めて戻す療法です。名古屋大学病院が、他に治療法がない急性リンパ性白血病の患者を対象に、再生医療の臨床研究として実施する予定です。このCAR-T細胞療法関連の臨床研究は各国で進んでおり、米国と中国では各100例以上あると報告されています。
患者自身のT細胞と呼ばれる免疫細胞に、がんになったリンパ球の目印を認識させ、がんを攻撃し続ける機能をもたせて体内に戻します。一度の点滴で効果が出るとされています。効果が高い一方、免疫反応が過剰に起こったり、正常なリンパ球も攻撃されて減少してしまったりするため、副作用は激しくなる可能性があります。血液のがんにはよく効くと考えられますが、使ううちに患者のがん細胞に耐性ができてしまう問題も残っています。
(2018年1月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)