今年の治療報酬の改定で、がん治療の充実を促す内容が含まれています。新たに公的医療保険の適用となり、報酬額が決まったのは放射線治療の一種の粒子線治療です。この治療には、水素の原子核を利用する陽子線治療と、炭素の原子核を使う重粒子線治療があります。いずれも一般的な放射線治療で用いるX線と比べ、がん細胞へ集中的に照射でき、正常な細胞への影響は小さいとされます。
これまでは粒子線治療そのものの費用は、患者が全額負担する一方、検査費や入院費などには保険が使える先進医療という制度で、様々ながんを対象に実施されてきました。しかし、患者の負担は約300万円にも上ります。これを保険診療にしたことで、1カ月分の自己負担額に歯止めをかける高額療養費制度を利用することができるため、所得に応じて負担額がさらに減ります。子どもは小児慢性疾病の対象となり、月最大1万5千円で済むことになります。
(2016年3月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)
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