国立がん研究センターは、肺がん患者にがん免疫薬オプジーボを使うのをやめるタイミングを探る研究に乗り出します。オプジーボは一部の患者に大きな効果をもたらしますが、高額な費用が問題となっています。集まったデータを基に、過剰な投薬を省けば医療費を抑え、無駄な副作用も避けられると思われます。オプジーボは最初は皮膚がん向けに販売し、その後患者が多い肺がんや腎臓がんに適用を拡大しています。一方、薬代が年間1千万円を超え、患者の負担増とともに医療財政への影響が懸念されています。期間の明確な基準がなく、効果や患者の要望に応じて医師が判断しています。薬が効いていると判断すると、そのまま投薬を続けることが多くなります。
研究では、投薬を1年で中止する患者と継続する2つのグループに分け、治療効果や副作用がどのくらい続くのかを調べます。最長で3年間観察を続けます。中止後にがんが悪化した患者は、投薬を再開します。中止後も効果が長く続くことが分かれば、科学的なデータを基に、今よりも投薬期間を短くして医療費を抑えられます。副作用が続く期間が分かれば、他の薬で副作用に対処できます。
(2018年11月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)