がん生殖医療への公的支援

厚生労働省の研究班によれば、がん治療後に出産の可能性を残すため、経済的な支援があれば卵子や精子などを凍結保存したいと希望する患者は、年間約7,000人に上ると推計しています。抗がん剤などの治療を受けると、卵巣や精巣がダメージを受ける恐れがあります。そのため、がん治療の前に卵子などを採取して凍結保存し、将来の妊娠に備える方法が実施されています。
しかし、費用は高額で、精子は5万円程度、卵子などを保存する場合は、長期保存では100万円以上かかることもあります。公的医療保険の対象ではなく、将来の妊娠・出産をあきらめる患者もいます。研究班の試算によれば、支援に必要な費用は、年間20億2,400万~39億5,000万円としています。
研究班が推計したのは2016年度に続き2回目で、患者数は1.2倍、支援に必要な費用は最大で3.7倍になっています。がん患者への凍結保存の助成制度を独自に設ける自治体が増えたことが背景の一つです。

(2020年10月27日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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