がん細胞は、一つの臓器で増殖するだけでなく、血液やリンパ液を通じて他の臓器に移動することで病巣を広げます。がんの死亡原因のほとんどは転移によるものであり、転移の予測ができれば、生存率の向上につながります。がん細胞が転移する臓器を決めている仕組みが、マウス実験で明らかになりました。血液検査で転移先や予測できるとされています。
転移では、がん細胞から放出されるエクソソ-ムという袋状の粒が血液やリンパ液の流れに乗り、別の臓器に移動し付着します。それを足場として、がん細胞が集まることが分かりました。エクソソ-ムの表面には特定の臓器にだけ付く突起が出ており、どの臓器に転移するかは、この突起の種類によって決まっているとされます。
(2015年12月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)