日本では年間に約100万人ががんの診断を受け、2人に1人が生涯のうちにがんに罹ります。医療が進化し、がんの治療は外来が中心となり、通院を続けて治す病気に変わってきています。厚生労働省の調査によれば、仕事をしながら治療を受ける人は約36万5千人に上っています。闘病しながら仕事を続けるための取り組みが、医療者や行政、企業に一層求められています。
国立がん研究センターは、がん患者の治療や療養の実態について、全国で約7千人を調査した結果をまとめています。がんの診断を受けた時に仕事をしていた人のうち、約2割が退職したり廃業したりしていました。2014年度の前回調査では離職率は3割を超えており、改善傾向がみられるものの、なお少なくない人が離職しています。
回答者の平均年齢は66.4歳で、仕事をしていた人は44.2%、このうち19.8%が治療のために退職、廃業しています。26.0%は仕事を続け、54.2%が休職していました。仕事を辞めた時期は、がん診断直後が34.1%と最多です。約6割の人が治療の開始前に仕事を辞めていました。仕事を辞めた人のうち、再び就労したくてもできない人は22.5%に上っています。
(2020年10月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)