国立がん研究センターは、がん患者を10年間追跡して集計した10年後の生存率を初めて公表しました。県立がんセンターや国立病院機構などの全国16のがん専門病院で、1999年から2002年に、がんと診断されて約3万5千人を追跡しました。初期から末期まですべての進行度合いが含まれています。全てのがんの10年生存率は58.2%でした。胃や大腸では5年生存率とほとんど変わらない一方、乳房や肝臓は5年後以降でも下がり続けており、部位別の傾向が明らかになりました。
部位別の10年生存率は、甲状腺の91%が最も高く、前立腺84%、子宮体がん83%、乳房80%と続いています。低いのは膵臓4.9%で、肝臓15%、胆嚢胆道20%、食道30%です。5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、乳房)のうち、胃と大腸は5年生存率と比べて2ポイント前後しか変わりませんでした。一方、乳房の場合、5年生存率は9割近いのですが、5年後以降もほぼ同じ割合で生存率が下がります。肝臓は約3割の5年生存率が1割台に下がります。肝臓がんは慢性肝炎や肝硬変を経て発症することが多く、手術ができても再発率が高くなります。
(2016年1月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)
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