こども家庭庁2023年度創設へ

子ども政策の司令塔となるこども家庭庁を創設する基本方針が、閣議決定されました。内閣府の外局に設置し、専任閣僚を置くとしています。こども家庭庁は、少子化対策のほか、虐待や貧困など子どもが直面する問題に一括して対応します。内閣府の子ども・子育て本部と厚生労働省の子ども家庭局を移管します。移管対象の人員は200人規模で、幼稚園の所管は文部科学省に残りました。
子どもが抱える問題は家庭環境や地域の実情、経済などと複雑にからんでいます。幼稚園の所管は文部科学省、保育園は厚生労働省、幼保の機能を併せ持つ認定こども園は内閣府と3府省が管轄し、長年縦割りの象徴とされてきています。幼保の区別は以前ほど意味を持たなくなっています。現在幼稚園は減り続けており、認可保育園や認定こども園は増え続けています。幼保の所管を海外のように統一することは必要です。

子育て支援にかかる日本の家族関係社会支出は、国内総生産比で1.73%に過ぎません。これを出生率が比較的高いスウェーデンやフランス並みの3%程度に引き上げることが必要です。国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の同支出の増額は9兆6,730億円です。子どもの貧困問題や幼児教育への重点的な財政支援が、将来の税収増や社会保障費の低減につながります。
子どもを産み育てることに希望が持てる社会でなければ、少子化は加速し、人口減少はさらに進みます。子育て支援は成長戦略であるとの認識を深め、社会が負担を分かち合う覚悟がなければ日本の未来はありません。

(2021年12月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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