たばこは、がんや心臓病、脳卒中などになる危険性を高めます。喫煙者本人だけでなく、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の害も招きます。厚生労働省研究班が2018年にまとめた研究報告書によれば、2015年度に、たばこが原因でかかった医療費(超過医療費)は、喫煙者本人による能動喫煙が1兆2,094億円と推計されました。がんや心臓病、脳卒中、糖尿病などに加え、歯周病による歯科の医療費を含めた額です。
一方、受動喫煙が原因の肺がんや心臓病、脳卒中の医療費は、3,295億円と推計されました。能動喫煙と合わせて、1兆5,389億円の超過医療費がかかった計算になります。これらを合計すると、2015年度にたばこのために余計にかかった費用は、1兆8,094億円となります。たばこによる超過医療費は、2015年度の国民医療費のうち3.6%を占めています。2005年度のたばこが原因の超過医療費1兆7,681億円と比べると、2,292億円、13%減少しています。喫煙率の低下が、たばこによる超過医療費などの減少につながっています。
(2019年5月9日 読売新聞)
(吉村 やすのり)