沖縄で流行しているはしかが、愛知や神奈川、東京にも飛び火し、4都県で患者数が100人を超えました。原因は、タイやインドネシアなどはしかが排除されていない国からの帰国者や訪日客が感染源となる輸入はしかです。対策のポイントははしかワクチンの接種です。はしかのワクチンは1978年から定期接種がはじまり、2006年から回数が2回に増えました。2回接種していれば、多くは予防できます。今回の感染者も接種歴「無し」、「1回」、「不明」がほとんどです。
はしかはウイルス性の感染症で、空気中のウイルスを吸い込むだけでもうつります。約10日の潜伏期間後、熱や発疹が出ます。特効薬はなく、肺炎や脳炎などとの合併症が起こることもあり、約1千人に1人は命を落とすと言われています。かつては日本も年間約20万人の患者がいました。2008年には、子どもを中心に患者が1万人を超え、休校が相次ぎました。しかし、予防接種の普及で、2015年に患者が年35人まで減少しました。世界保健機関(WHO)は、地域制流行が1年以上出ていない状態など、日本がはしかの排除を達成したと認定していました。
子どもは定期接種を必ず受け、大人は母子手帳を確認し、はしかにかかっておらず接種歴がない人は任意接種が必要です。しかし、妊婦などはワクチンを打てません。医療機関の受診方法も大切です。愛知や東京では、医療機関で感染が広がっています。発熱や発疹などはしかと似た症状が出たら医療機関に事前に連絡し、受診方法を確認し、ほかの来院者や医療従事者に感染を広げないようにすることが重要です。
(2018年5月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)