はしかの流行

はしかの患者が増えています。今年に入って、全国20都道府県で167人に上り、この10年で最多だった2009年同時期を上回っています。国立感染症研究所の発表によれば、最新患者数の最も多いのは、三重で49人、大阪47人、愛知17人、東京11人と続いています。三重では宗教団体の研修会で集団感染があり、1月7日以降、参加者やその家族、病院、学校などで感染が広がっています。大阪市では、あべのハルカスのバレンタインフェア会場で働いていた人や客ら21人に感染が広がりました。

日本は予防接種の普及で2015年には患者が年35人に減少しました。WHOは日本をはしかの排除国と認定していました。日本で患者が増える時は、アジアの流行と関連しています。今年の国内患者から検出されたウイルスの型の多くが、東南アジアで流行している型と同じです。輸入はしかが国内に定着して1年異常感染が続くと、排除国の認定が取り消される可能性があります。
はしかは感染力が極めて強く、空気中のウイルスを吸い込むだけでもうつります。はしかに治療薬はなく、有効なのはワクチン接種による予防です。1978年に定期接種が始まり、2006年から2回接種になりました。2回打てば多くは予防でき、感染しても症状は軽く他人にうつす心配はありません。しかし、今年の患者の約9割は、1回接種、不明、接種なしでした。

(2019年2月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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