政府は、子どもの貧困の改善に向け、ひとり親家庭の経済支援を強化します。2015年の子どもの貧困率は13.9%、ひとり親世帯の貧困率は50.8%に上っています。家計が厳しい世帯も多く、ひとり親であることや婚姻歴の有無、性別などによる制度上の不公平をなくすべきだと指摘されてきたことが背景にあります。
厚生労働省は、2021年度以降に、国民年金の保険料を免除するひとり親家庭の範囲を広げます。今は夫と離婚・死別した低所得の母子家庭が免除対象ですが、改正案では、年間所得が135万円以下の未婚のひとり親と、妻と離婚・死別した父子家庭も加えます。低所得のひとり親家庭に支給する児童扶養手当も受け取りやすくします。また税制改正法案では、配偶者と離婚・死別したひとり親の税負担を軽くする寡婦(夫)控除の対象に、従来は対象外だった未婚のひとり親も加えます。
ひとり親家庭は増加傾向にあり、厚生労働省の推計では2016年11月時点で141万9千世帯に達しています。約半数が貧困状態なのは、非正規雇用による低賃金や、子育てと仕事の両立の難しさなどが要因とされます。親から子への貧困の連鎖も問題となっており、対応の必要性が高まっています。
(2020年1月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)