新型コロナウイルスの感染長期化で、子どもの貧困が深刻になってきています。コロナ前の2018年に、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合である子どもの貧困率は、13.5%にも達しています。とくにひとり親世帯では48.1%で、OECD諸国の中で最も高いレベルにあります。
独立行政法人の労働政策研究・研修機構の昨年11月末時点の調査によれば、ひとり親世帯は、年末への暮らし向きで苦しいが6割を占めています。直近1カ月で必要な食料が買えないことがあったが、35.6%に上っています。シングルマザーの貧困などスルーされてきた問題が、コロナ禍で顕著になってきています。
悪影響は経済面にとどまらず、生活不安が高まり、家族以外との接触機会が減ってきています。虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した子どもの数は、2020年に過去最高になっています。まさに負の連鎖です。菅内閣は、新型コロナウイルスで深刻な影響を受ける女性の非正規労働者やひとり親世帯への支援を発表する方針を示しています。
(2021年3月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)