ふくらはぎの肉離れの予防

新型コロナウイルス禍で外出の機会が減ったとはいえ、適度な運動は心身のリフレッシュに欠かせません。中高年になると、慣れない運動でふくらはぎの肉離れ(テニスレッグ)を起こすことも多くなります。テニスレッグは、ふくらはぎの肉離れの通称です。筋肉が縮んだ状態から急に引き伸ばされるなどして筋肉が断裂してしまいます。ふくらはぎに石が強く当たったような強い痛みから、筋肉の違和感まで程度に差はありますが、発症時に適切な処置をしないと筋肉の中で出血が広がってしまいます。痛みが大きくなるばかりか、そのままにしておくと筋肉の柔軟性が失われ、再発しやすくなります。
テニスレッグになった時の対処法は、RICEです。安静(Rest)にして、患部を冷やし(Icing)、包帯などで巻いて圧迫し(Compression)、心臓より高い位置まで上げる(Elevation)方法です。テニスレッグが治るまでに平均30日ほどかかります。その間は日常生活でも、つま先立ちといった動作は控えることが必要です。
大切なのはしっかり治してから運動を再開することです。動けるから大丈夫と無理してしまい、結果として筋肉へのダメージを大きくしている人が少なくありません。もう治ったと感じても、つま先立ちしてかかとを上げ下げするカーフレイズという運動を敢えて慎重にやってみて、痛みや突っ張り、違和感が出ないかしっかり確認することが大切です。
予防法としては、筋力トレーニングや体の柔軟性を維持するストレッチがよく知られています。カーフレイズもふくらはぎの筋肉を鍛える動きです。汗をかいてからではなく、運動の前に給水しておくことも大切です。中高年の場合、屋外に出る前に、室内であらかじめ体を動かして心拍数を上げておくのも予防に役立ちます。しっかり歩ける脚を保つのは健康寿命を保つのにもつながります。

(2021年5月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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