総務省の発表によれば、全国の自治体が2022年度に受け入れたふるさと納税の寄付総額が、前年度比1.2倍の9,654億円でした。寄付件数も同1.2倍の5,184万件で、いずれも過去最高を更新しています。一方で、寄付を多く集める上位の自治体の固定化が目立っています。トップ20自治体の寄付総額の2割ほどを占める状態もここ数年続いています。
要因として挙げられるのが、寄付の後に自治体から送られてくる返礼品にあります。ふるさとチョイスを運営するトラストバンクによれば、人気の品は、肉類、魚介類、果物類です。トップ自治体は、ブランド牛やカニやホタテ、ウナギなど、もともと国内有数の産地が目立ちます。自治体間の返礼品競争が過熱化しています。返礼品の調達にかかる費用は、寄付額の3割以下とする基準がありますが、違反する自治体も出ています。
ふるさと納税は、寄付者の居住地の自治体にとっては減収となります。政令市や東京23区の多くは、税の受益と負担の原則に反するとして距離を置いていました。しかし、大規模な税収流出が続く大都市も返礼品を拡充し、京都市や名古屋市への寄付は大幅増となっています。
(2023年8月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)