日本の難民認定率は先進国の中で突出して厳しいとされています。2016年に1万人を突破した申請者は、翌年には2万人に近づき、コロナ禍で入国制限されるまでは毎年1万人以上いました。これに対し認定数は、1989年以降で最も多かった2020年でも47人にとどまっています。
難民支援協会の調査によれば、2020年の認定率は0.5%です。同じ年に6万3,456人を認定したドイツ(認定率41.7%)、1万9,596人のカナダ(認定率55.2%)、1万8,177人の米国(認定率25.7%)と比べて少なさが際立っています。審査時間も長く、平均で4年とされ、10年近い場合もあります。申請して8カ月すると就労が許可されますが、それまでの生活は困難を極めることが多くなっています。
厳しい認定数の背景には、迫害の定義の狭さや、母国へ帰国できない事情を客観的に証明しなくてはならない点などがあります。出入国在留管理庁が審査するため、保護よりも管理の視点が先に立つことも指摘されています。
国連高等弁務官事務所の2020年の報告書によれば、世界の難民は約8,240万人です。今回、ウクライナでは382万人を超えています。SDGsでは難民の保護と権利の尊重を求めるとともに、移住者を持続可能な開発に貢献する人たちだと位置づけています。
(2022年3月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)