銀行がどんどん大きくなっています。3メガバンクの総資産は、2021年に日本の名目GDPの1.5倍を突破しています。リーマン・ショック後の度重なる金融緩和を背景に、リスクを抱えながら成長を試みてきた結果です。
メガバンク体制は2002年に始まりました。みずほ、UFJ、三菱東京、三井住友の4メガで総資産は約439兆円でした。2005年にUFJと三菱東京が統合して3メガに集約されました。総資産はほぼ横ばいだったのがリーマン危機に右肩上がりになりました。2021年末に約842兆円に膨らみました。GDP(542兆円)より5割超も多くなっています。
3メガグループの2021年末の総資産を従業員数で単純に割ると、1人当たり約30億円になります。米四大銀行は、2020年時点でJPモルガン・チェースが約16億円、バンク・オブ・アメリカが約20億円、シティグループが約13億円、ウェルズ・ファーゴが約9億円です。国際的にも日本の銀行の膨張ぶりは際立っています。
日本は銀行の資金調達の6割が国内預金です。運用先も、現金・預け金、つまり日銀が目立っています。貸し出しに回せなかった分を日銀に返しているだけのお金も少なくありません。3メガバンクを監視する危機管理グループを仕切るのは日本金融庁です。金融市場が不安定になるほどその役割は重くなります。
(2022年4月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)