わが国の景気回復の遅れ

世界の主要な国・地域の1~3月期の国内総生産(GDP)の速報値が出ています。中国や米国の景気回復が加速した一方、日本や欧州の遅れが鮮明になっています。新型コロナウイルス対策の巧拙を映しており、4~6月期には中国に加えて、米国のGDPもコロナ禍前の水準を上回る見通しです。春以降にワクチン接種が進んだ欧州も4~6月期以降の回復期待が強まっており、日本が取り残されることになりそうです。
内閣府が発表した日本の1~3月期の実質GDPの速報値は、3四半期ぶりのマイナス成長となり、前期比年率5.1%減でした。1月8日に始まった首都圏4都府県の2度目の緊急事態宣言を受けた外出自粛や飲食店での時短営業などで、個人消費は前期比1.4%減少しています。設備投資も1.4%減と落ち込み、2四半期ぶりに減少しています。輸出の伸びも前の期から鈍化しています。

 

物価変動を調整したものが実質GDP、物価変動を考慮しないものが名目GDPと呼ばれます。国別でみると名目GDPの世界1位は米国、2位は中国で、日本は3位の経済規模です。日本は2010年に、著しく経済成長を続けた中国に名目GDPで抜かれました。
GDPは、国の経済の動きを生産、分配、支出の3つの側面から捉えています。支出面からみたGDPは、家計、企業、政府、海外という4つの主体が、期間中に国内で生産した財・サービスに対していくら使ったかを表しています。支出面で最も大きいのは家計の支出である個人消費で、日本ではGDP全体の半分以上を占めています。

(2021年5月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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