わが国の現金流通量

政府・日銀は、千円、5千円、1万円の新紙幣を2024年度に流通させると正式発表しました。日本は世界に類をみない現金大国で、最新技術で偽造防止を強化し、今後も安全な決済手段として維持することにしています。国内総生産(GDP)に占める現金の存在感は、日本が突出しています。2016年のGDPで比べると8%の米国や6%の韓国に対して、日本は20%です。世界で最もキャッシュレスが進み、中央銀行がデジタル通貨の発行を検討するスウェーデンはわずか1.4%で、2007年時点の3.3%から半分以下になっています。
日本はむしろ現金の流通が増えており、2008年末の86兆円から2018年末には115兆円と、10年間で3割増えています。現金流通が多い背景には、日銀の超低金利政策の下で、銀行に預けず家計に眠る「タンス預金」の存在があります。日本でクレジットカードや電子マネーなど現金を使わないキャッシュレス決済の比率は約20%にとどまっています。これを2025年に40%に高める目標を掲げています。

(2019年4月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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