わが国の社会保障を取りまく環境―Ⅲ

社会保障を支える現役世代の減少

 国立社会保障・人口問題研究所が2023年に公表した推計によれば、2040年の生産年齢人口である15~64歳の人口は約6,213万人になります。2020年の約7,509万人から約1,300万人(17%)減る計算となっています。一方、2020~2040年の20年間に65歳以上の高齢者は約3,603万人から約3,929万人に増加します。介護を必要とする人が急増する85歳以上の人は1.6倍の約1,006万人に増えます。

 この推計は、将来の出生率を高位、中位、低位の3段階に分けたうちの中位を仮定しています。中位推計では、2024年の日本人の出生数は約76万人でしたが、実際には約69万人でした。低位推計の67万人にむしろ近く、将来を担う世代の減少が加速しています。

 税や保険料を多く負担する現役世代は、今後も減り続ける見通しです。医療や介護の担い手の確保も難しくなり、社会保障を取り巻く環境はさらに厳しくなります。

(2025年7月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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