わが国の社会保障を取りまく環境―Ⅳ

社会保障と国民負担率

 日本の社会保障は、各国と比べて負担が中程度、受けられるサービスも中程度と言われています。今のサービス水準を維持するだけでも負担は増やさざるをえません。所得に対する税や社会保障の負担の割合は、年々増加しています。社会保障のサービスを手厚くするため、日本より重い負担を国民に求めている国はたくさんあります。

 高齢化や医療の高度化で増える医療費を抑えるため、国は診療報酬の伸びを抑えてきました。その分、病院は利益を上げづらくなっています。今の診療報酬では物価高騰のコストをまかなえず、日本病院会など6団体の調査によれば、昨年6~11月、赤字の病院が6割に上っています。診療報酬を大幅に引き上げるなら、その分のお金は、税、保険料、窓口で患者が支払うお金から確保する必要があり、負担増につながります。

(2025年7月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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