わが国の親権制度

離婚した父母の一方のみを子どもの親権者とする単独親権制度をとる日本で、父母双方が親権をもつ共同親権制度の導入をめぐる議論が起こっています。共同親権制度は、欧米諸国や中国、韓国などで導入されています。年間20万組ほどの夫婦が離婚する日本でも、近年、共同親権を求める動きが目立ち始めています。
背景には、少子化で一人っ子の家庭が増えたり、父親が育児参加するようになったりしたことで、離婚後も子どもを手放したくない父親が増えていることなどがあるとみられています。司法統計によると、子との面会交流を求める調停の申立件数は、2000年度は約2,400件でしたが、2017年度は5倍以上の約1万3千件に達しています。その約7割が父親です。しかし、夫からの虐待に苦しむ妻や子の保護を重く見る観点などから、反対する声も根強くあります。無条件に共同親権を認めれば、虐待する親から子を引き離すことが難しくなるとする意見もあります。共同親権制度をとるとしても、虐待やDVの際の親権停止などの対策や支援態勢を整えることが必要です。

(2018年12月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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