消費者庁などによれば、国内の食品ロスの量は2022年度で472万トンとなっています。約4兆円の経済損失にあたります。食品を生産する過程などで排出する二酸化炭素(CO2)の排出量も1,046万トンに上り、ロス解消は環境負荷の低減につながります。
日本の食品ロス量は、10年前と比べて約3割減っています。欧米先進国などと比べても量は少なくなっています。国連環境計画の公表によれば、日本の家庭の1人あたり食品廃棄量は年間60㎏だったのに対し、米国は73㎏、英国も76㎏が発生しています。日本の食品ロス削減が進んだのは、政府が食品廃棄量を調査・推計して啓発を進めた結果とみられています。
政府は、2030年度までの食品ロスの削減目標を、事業者は2000年度比で60%減、家庭は半減としています。当初はいずれも2000年度比で半減としていましたが、事業者は既に達成しています。食品ロスに関する意識は高まってきています。企業に加え、家庭での行動変容も促すなどし、今後も食品ロスの削減を進めることが大切です。
(2025年2月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)